キャンディータフト(短編)
第1章 キャンディータフト
「少し校舎見てくるね」
そう言って立ち上がった大ちゃんが私に手招きをする。
大ちゃんにつられて立ち上がった私は、後ろを振り返って皆の方を見た。
未だ俯き加減で悲しそうな顔を見せる皆に、私は少し罪悪感を感じる。
私の手紙がそんなに皆を暗くしてしまったのだろうか。
私はただ、皆と一緒に笑って過ごしたかった。そう思っていただけなのに。
「みんな……何か手紙、ごめんね。私……皆に悲しい顔して欲しかったわけじゃないの。だからお願い、いつもみたく笑って欲しいな」
皆の悲しそうな顔を見ていると、胸が締め付けられる様に苦しい。
「そんな顔してたらひよが悲しむよ。笑ってあげて」
そんな声と共にフッと影がさし、隣を見上げると優しく微笑んで私を見つめる大ちゃんが立っていた。
「そうだな、何かごめん! 」
頭に手を当ててハハハッと笑う浩ちゃん。
そんな浩ちゃんにつられて、めぐちゃんと瞳ちゃんも笑顔になる。
「こめんね、日和」
ポツリと呟き小さく微笑む瞳ちゃんに、私は首を横に振ると笑顔を向けた。
「……じゃ、ちょっと行ってくる」
「校舎見てくるね。また後でね」
大ちゃんと共にそう告げると、三人は小さく手を振り「また後で」と笑顔で答えた。