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キャンディータフト(短編)

第1章 キャンディータフト



生まれた時からずっと一緒で、何をするにもいつも側にいてくれた大ちゃん。
そんな当たり前の日々に喜びを感じていた事。
まるでお兄ちゃんのように、いつも私を気に掛けてくれる浩ちゃんに感謝する気持ち。
瞳ちゃんが貸してくれる本はいつも面白くて、読んでいてとても楽しい事。
めぐちゃんの家で飼っているさくらちゃんがとても可愛くて、さくらちゃんの散歩は凄く楽しいという事。そしてまた、一緒に散歩に行きたいと。

この小さな島で生まれ、一緒に育ってきた皆。
遊ぶ場所など何もないけれど、皆と一緒にいられるだけでどれだけ楽しいか。そんな当たり前の毎日が私の全てで、とても幸せだと。
そう思える皆に出会えて良かったーー。

めぐちゃんの読み上げる手紙に私の記憶も徐々に蘇り、毎日一緒に過ごしていた日々を思い出して、その懐かしさから目には涙が溜まってくる。
手紙を読むめぐちゃんの声が徐々に涙を含むものに変わり、それにつられた私はついに涙を流した。

中学を卒業して高校生になっても、ずっとずっと今と変わらず皆と一緒にいたいーー。
私の書いた手紙は、そう締めくくられていた。


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