キャンディータフト(短編)
第1章 キャンディータフト
「えっ……?」
言っている意味がわからず、固まったままめぐちゃんを見つめる。
誰と話してるのって……どういう意味……?
困惑したまま視線を目の前に移すと、悲しそうに小さく微笑む大ちゃんがいた。
「……私達もう浩一の家に行くから、終わったら来てね。……それじゃ、後でね」
黙ったままの私達にそう告げると、少し心配そうな顔を見せるめぐちゃん。
教室を出て行こうとするも、一度立ち止まって振り返ると何か言いたそうに私達を見る。それでも何も言わずに黙ったままクルリと背を向けると、そのまま教室を後にしたーー。
ずっと黙ったままめぐちゃんを見送った私は、ゆっくりと首を動かすと目の前の大ちゃんへと視線を移した。
相変わらず悲しそうな顔をする大ちゃんに、私は小さく震える声で話し掛ける。
「大ちゃん……誰と話してるのって……どういう意味だろ……? 」
カタカタと震える手をキュッと握り締めると、答えを求めて大ちゃんを見つめる。
私から視線を逸らし、黙って俯いてしまった大ちゃんに向けてそっと手を伸ばすーー。
ーーー!?
「……え? 」
大ちゃんに触れたはずの私の手は、そのまますり抜けるようにして宙を舞った。
「なん……で……? 」
驚いた私は、自分の手をただ呆然と見つめた。
「……ごめん。ひよ、ごめん……」
小さく震える声で謝る大ちゃんの方へと視線を向けると、私を見つめる大ちゃんと瞳がぶつかる。
その大ちゃんの目からは涙が流れ、とても辛く悲しそうな顔をしていた。