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キャンディータフト(短編)

第1章 キャンディータフト



幼い頃から心臓の弱かった私は、よく入退院を繰り返していた。
中学に上がる前、本格的に具合が悪くなってしまった私は長期入院を余儀なくされた。
海外での手術を待つ間、島に唯一ある病院で入院できた事は私にとっては嬉しい事だった。小さな頃からお世話になっていたお医者さんと看護師さんに安心し、何より皆と直ぐに会える距離にいられる事がとても嬉しかった。

毎日のように皆お見舞いに来てくれて、学校での楽しい話を聞かせてくれた。
退屈しないようにと、瞳ちゃんはたくさんの本を持ってきてくれた。
皆が学校へ行っている間は本を読んで過ごし、読み掛けのページには大ちゃんから貰った栞を挟む。そんな毎日を過ごしていた。

皆が中学校へ通い出すようになっても、私はまだベットの上で過ごす毎日が続いていた。そんなある日、私が泣きながら学校へ行きたいと伝えると、タイムカプセルを一緒に埋めようと皆が提案してくれた。

『いつまでも皆一緒だよ』

そう言ってくれて凄く嬉しかったのを覚えている。

大ちゃんから聞く学校生活はとても楽しそうで、私はまだ行った事のない中学校にワクワクし、話しを聞いているだけで自分も行った気になったりもした。
タイムカプセルを埋めた大きな桜の木は、春には満開の花が咲きとても綺麗だと大ちゃんから聞かされた。

『いつか一緒に見ようね』

そんな約束もした。

早く大ちゃんと一緒に学校へ通いたい。
病室に飾ったまま、まだ一度も着た事のないセーラー服を眺め、セーラー服姿で大ちゃんの隣に並べる事を毎日のように願った。


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