キャンディータフト(短編)
第1章 キャンディータフト
「……そうだね。俺もひよに会えて凄く嬉しい」
そう言って笑顔で返事をしてくれる大ちゃん。
私が好きだった大ちゃんの優しい笑顔は、成長した今でもやっぱり変わらない。
小さい頃から大好きで、大好きで……。でも、結局気持ちを伝える事はできなかった。
私の初恋でーー今でも好きな人。
目の前の大ちゃんを見つめていると、私の視線に気付いた大ちゃんが笑顔で見つめ返してくれる。この空気がとても懐かしくもあり、少しくすぐったい。
暫く見つめ合っていると、チラリと窓の外に視線を移した大ちゃんが口を開いた。
「あっ……皆来たみたいだよ」
「みんな……?」
視線を私に戻した大ちゃんがニコリと微笑む。
「タイムカプセル」
「えっ……?」
「ここ廃校になるから。その前に皆で埋めたタイムカプセル掘りおこそうって」
そう言って窓の外を指差す大ちゃん。
その先を辿って見ると、先程見た大きな木に三つの人影があった。
「そっか……そうだったね。タイムカプセル」
大ちゃんに会えた喜びで、今の今まですっかり忘れてしまっていた。
「俺達も行こうか」
「うん」
そう促された私は、立ち上がると大ちゃんに付いて教室を後にした。