キャンディータフト(短編)
第1章 キャンディータフト
掘り出したタイムカプセルをそっと土の上に置くと、私達はそれを囲むようにしてその場にしゃがみ込んだ。
「それじゃあ、開けるね」
青い缶に手を掛けた瞳ちゃんが小さく唾を飲み込む。
ーーーパカッ
蓋の空いた缶を覗き込むと、中には色々な物が入っていた。
それを思い思いに取り上げると、「懐かしいね」なんて言いながら昔を思い出す。
私は一体何を入れたのだろう……?
そう思っていると、めぐちゃんがピンクの封筒を取り上げた。
「これは誰のかな? 」
そう言いながら裏を見ると、【日和】と名前が書いてある。私の字だ。
ーー徐々に蘇ってくる記憶。
「開けてもいい……? 」
そう訊ねるめぐちゃんの声に、私は手紙を書いた事を思い出した。コクリと小さく頷くと、それを見ていた大ちゃんが優しく微笑んで口を開いた。
「うん、開けてみよう」
めぐちゃんはピンクの封筒から更に小さな封筒を取り出すと、それをジッと眺める。
「これ……読んでいいの? 」
めぐちゃんの手に握られた手紙には、私の字で【みんなへ】と書かれている。
それは、私から皆へ宛てた手紙だった。
「みんなへって書いてあるから大丈夫だよ、ねぇ? 」
「うん、読んでいいよ」
瞳ちゃんの声に、私は笑顔で返事をする。
目の前で読まれるのは少し恥ずかしい気もするけれど、皆へ宛てて書いた手紙だから。皆に読んでもらいたい。
「めぐ読んでよ」
浩ちゃんの発した言葉で、めぐちゃんは手紙を開くと声に出して読み始めた。
そこには、書いた本人でさえ忘れていた過去の私の気持ちが綴られていた。