雪野かなえに想いを込めて
第4章 休日の満員電車
休日の満員電車は嫌いだ。わいわいとする楽しそうな声。やみかわソングを聞きながら、かろうじて座れた席の壁にもたれる。音楽を流しても外から聞こえる声。本当は、音量をあげたいところだが、音漏れをさせてしまいそうで躊躇する。
そんな思考を巡らせた途中の駅。ふと入り口のほうを見ると、鮮やかな金髪。背負っているのは黒のギター袋。自分が着ている服と同じ系統の姿。だけど、その人は、スタイルもよくて美人で。
「かっこいい……」
思わず漏れてしまった声は、思ったより大きくて。その人と目が合う。
「あっ、ごめんなさい!! ついっ」
「ありがと。かっこいいよな、このギター」
女の人はにっこり微笑んでくれて、その笑顔は、可愛らしさを持ち合わせていて、羨ましい。きゅん。羨ましい。可愛い。かっこいい。あぁあああ!! 頭の中の思考が……回らない。
「い、いえっ! お姉さんが凄く……綺麗で、かっこよくて、わわわっ」
「そんなこと言われたのはじめて……かも。ちょっと恥ずかしい。あたしは、雪野かなえ。良かったら、今夜、ライブあるから来てよ」
渡されたチケットを受け取り、コクコク!! と大きく頷く。見惚れてしまって、もう声は、喉は機能しなくて。
「あの、図々しいお願いしていいですか? お金払うので、もう一枚チケット欲しいです。友達と一緒に見に行きたくて」
「ほんとに? お金なんていいよ! 来て来て!」
かなえさんは、微笑みからとびきりの笑顔になって。少し離れた友達のところに行って、観光させてもらうつもりが、こんな綺麗な人のライブに行けることになるなんて。
チケットを渡して、誘った時の友達の顔。かなえさんを見た友達の反応は、手に取るように想像できて、憂鬱な満員電車は、最高な満員電車になった。
fin.
そんな思考を巡らせた途中の駅。ふと入り口のほうを見ると、鮮やかな金髪。背負っているのは黒のギター袋。自分が着ている服と同じ系統の姿。だけど、その人は、スタイルもよくて美人で。
「かっこいい……」
思わず漏れてしまった声は、思ったより大きくて。その人と目が合う。
「あっ、ごめんなさい!! ついっ」
「ありがと。かっこいいよな、このギター」
女の人はにっこり微笑んでくれて、その笑顔は、可愛らしさを持ち合わせていて、羨ましい。きゅん。羨ましい。可愛い。かっこいい。あぁあああ!! 頭の中の思考が……回らない。
「い、いえっ! お姉さんが凄く……綺麗で、かっこよくて、わわわっ」
「そんなこと言われたのはじめて……かも。ちょっと恥ずかしい。あたしは、雪野かなえ。良かったら、今夜、ライブあるから来てよ」
渡されたチケットを受け取り、コクコク!! と大きく頷く。見惚れてしまって、もう声は、喉は機能しなくて。
「あの、図々しいお願いしていいですか? お金払うので、もう一枚チケット欲しいです。友達と一緒に見に行きたくて」
「ほんとに? お金なんていいよ! 来て来て!」
かなえさんは、微笑みからとびきりの笑顔になって。少し離れた友達のところに行って、観光させてもらうつもりが、こんな綺麗な人のライブに行けることになるなんて。
チケットを渡して、誘った時の友達の顔。かなえさんを見た友達の反応は、手に取るように想像できて、憂鬱な満員電車は、最高な満員電車になった。
fin.