はるのかぜ
第3章 突然もぎ取られた楽しみ
その日の夕方の食事時、弥生はハルに卓造の容態について話します。
「今日ね、おじいちゃんの所に行ったら、おじいちゃん寝ててね、夜中からお腹痛くて何も食べてなかったみたいなの。」
「えっ!おじいちゃん大丈夫なの?」
「脱腸らしい。」
「脱腸?」
「簡単に言うとね、腸が皮膚の下に飛び出した状態になってるの。」
「それって治るの?」
「手術が必要なんだって。」
「手術?」
「でね、ハルにお願いがあるの。おじいちゃん、しばらく入院しないといけなくなりそうなの。そうなると、ハルにもいろいろ手伝ってもらわないといけないことも増えそうなの。」
「そっかぁ。でも仕方ないよね。」
「それでなんだけど、今、行ってる塾なんだけど、一時的で大丈夫だから辞めてもらえないかしら?」
「えっ!」
「塾が楽しいって気持ちはよくわかる。でもね、塾のある日はいつも夜の10時過ぎに帰ってくるでしょ。おじいちゃんが入院してる上にその生活だと、今度はハルが参ってしまうわよ。」
「私、塾は辞めない。だって、遅いのはたった週3日じゃないの。残りの日、おじいちゃんのために尽くせばそれでいいじゃない。」
「1人入院するって大変なことなのよ。いろんな人の手が必要になるし。」
「私、絶対に塾、辞めないから!」
そう言うとハルは自分の部屋に駆け込んで行きました。
それから数日後、ハルが塾に通う日が来ました。今日も有紀や愛に会えるというのが楽しみで、ウキウキしながらハルは学校から帰ってきました。いつものように塾に行く準備をしていると弥生がハルの部屋にやって来ました。
「ハル!今日はもう塾に行く準備、しなくていいわよ。」
「どう言うこと?」
「ハルが辞めたくない気持ちは十分わかる。だから、おじいちゃんの具合良くなれば、また通えばいいわ。今は本当に緊急事態なんだから、許して。さっきね、塾に辞めさせてもらうよう連絡したの。」
ハルの顔色が変わります。
「私に黙ってなんでそんな勝手なことするの?」
「だから、お母さんだって迷いに迷ったけど、こうするしかなくて。」
「もう、出ていって!」
ハルは弥生に鞄を投げつけました。何も言えず弥生は出ていきます。突然、楽しみをもぎ取られてしまったハルはただ涙を流すことしかできませんでした。
「今日ね、おじいちゃんの所に行ったら、おじいちゃん寝ててね、夜中からお腹痛くて何も食べてなかったみたいなの。」
「えっ!おじいちゃん大丈夫なの?」
「脱腸らしい。」
「脱腸?」
「簡単に言うとね、腸が皮膚の下に飛び出した状態になってるの。」
「それって治るの?」
「手術が必要なんだって。」
「手術?」
「でね、ハルにお願いがあるの。おじいちゃん、しばらく入院しないといけなくなりそうなの。そうなると、ハルにもいろいろ手伝ってもらわないといけないことも増えそうなの。」
「そっかぁ。でも仕方ないよね。」
「それでなんだけど、今、行ってる塾なんだけど、一時的で大丈夫だから辞めてもらえないかしら?」
「えっ!」
「塾が楽しいって気持ちはよくわかる。でもね、塾のある日はいつも夜の10時過ぎに帰ってくるでしょ。おじいちゃんが入院してる上にその生活だと、今度はハルが参ってしまうわよ。」
「私、塾は辞めない。だって、遅いのはたった週3日じゃないの。残りの日、おじいちゃんのために尽くせばそれでいいじゃない。」
「1人入院するって大変なことなのよ。いろんな人の手が必要になるし。」
「私、絶対に塾、辞めないから!」
そう言うとハルは自分の部屋に駆け込んで行きました。
それから数日後、ハルが塾に通う日が来ました。今日も有紀や愛に会えるというのが楽しみで、ウキウキしながらハルは学校から帰ってきました。いつものように塾に行く準備をしていると弥生がハルの部屋にやって来ました。
「ハル!今日はもう塾に行く準備、しなくていいわよ。」
「どう言うこと?」
「ハルが辞めたくない気持ちは十分わかる。だから、おじいちゃんの具合良くなれば、また通えばいいわ。今は本当に緊急事態なんだから、許して。さっきね、塾に辞めさせてもらうよう連絡したの。」
ハルの顔色が変わります。
「私に黙ってなんでそんな勝手なことするの?」
「だから、お母さんだって迷いに迷ったけど、こうするしかなくて。」
「もう、出ていって!」
ハルは弥生に鞄を投げつけました。何も言えず弥生は出ていきます。突然、楽しみをもぎ取られてしまったハルはただ涙を流すことしかできませんでした。