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はるのかぜ

第5章 友は待っているか?

年度末の近づいたある日のことでした。 弥生は卓造を連れ、掛かり付けの病院に連れていきました。その日、医師は卓造たちにこう告げました。

「その後の経過も順調ですので、もう大丈夫です。もう薬等のケアも必要ないのでご安心ください。」

「先生、ありがとうございます。」

卓造は医師にお礼を言いました。

その翌日の夕方のことです。ハルは自分の机で学年末のテストの勉強をしていました。すると、部屋のドアをノックする音がしました。ハルは何も言いません。やがて、ドアが開き、弥生が入ってきました。弥生は何も言わず、ハルの目の前に何かを差し出しました。見るとそれは、以前通っていた塾の春期講習のテキストでした。驚いてハルは言いました。

「これは?」

「ここにはハルにとって、大切な友達がいるんでしょ。おじいちゃんのことで、長いことハルには迷惑かけた。けど、長かったおじいちゃんの通院生活も昨日でもう終わった。だから、ハルを今まで通りの生活に戻してあげないとって思ってね。」

「お母さん…。」

これがハルと弥生との久々の会話となりました。もうすぐハルにはあの塾生活が戻ってきます。そして、仲良しだった有紀と愛は果たしてそこで、ハルのことを待っていてくれるのでしょうか?

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