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はるのかぜ

第10章 積み重なった悪事

ハルの心の崩壊は日に日に増していきました。次の放送当番の日も何かイタズラを仕込もうと考えました。放送室でいろいろと機器をいじっていると、ハルはあることに気づきました。備え付けのCDプレイヤーは、再生したまま大元の機器の電源を落とすと、次に電源を入れたときに勝手に再生されるのです。するとハルはCDを再生にしたまま大元の機器の電源を落とし、そのあと、CDプレイヤーの音量を最大の状態にして放送室を出ました。

翌日の昼休みのことです。次の日の放送当番である古川由香はハルがイタズラを仕込んでいるとは知らず、放送の準備のため、機器の電源を入れました。機器が立ち上がって数秒後、校内に爆音が鳴り響きました。由香は大慌てでCDプレイヤーの音量を落とします。しかし、突然鳴り響いた爆音に学校中、大騒ぎです。教務主任の中村先生に加え、放送部顧問の遠藤藍子先生も放送室へ駆けつけました。

「今の音はいったい何事だ!」

中村先生が言いました。

「機械の電源を入れたら、突然音楽が鳴り始めたんです。」

由香が状況を説明します。

「昨日の放送当番は誰だ?」

中村先生が言いました。遠藤先生が確認を行い中村先生に伝えます。

「内海みたいです。」

「またか!」


その日の帰り際のことでした。担任が不在で、副担任の高木和己先生がホームルームをしていました。ハルが帰ろうとすると、高木先生がハルに言いました。

「内海さん、このあと遠藤先生のところに行って。」

「わかりました。」

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