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はるのかぜ

第26章 教育実習生がやって来る

ある日、帰りのホームルームが始まる前のことでした。

「ハル、昨日、この前私が休んだ時の数Bの内容見てたんだけど、教科書読むだけじゃイマイチ内容がわからなくて。」

そうハルに声をかけたのは有紀でした。

「今、教科書ある?」

「あるよ。」

「じゃあ、私が今から教えてあげる。」

「さすが、ハル!」

そう言うとハルは自分の机から教科書とルーズリーフを取り出しました。有紀も同じように教科書を取り出します。

「この前の時間は17ページの内容だったの。ベクトルを座標を使って表す方法を習ったの。じゃあ、17ページみたいにとりあえずaベクトルってベクトルがあったとするわね。ベクトルを座標で表すときはまず、ベクトルの始点をこうやって座標の原点に持ってくるの。そしたらこのベクトルの向かってる方向の縦と横の値を見て、こうやって表すの。」

「うんうん。」

「これをベクトルの成分表示って言って、こっちがx成分、こっちがy成分って言うんだって。」

「なるほど。」

「それから、成分からベクトルの大きさを出す方法も習ったの。」

「大きさ?」

「うん。大きさはここに注目すると直角三角形ができるでしょ。直角三角形と言えば中学校で習った三平方の定理が使えるでしょ。」

「確かに。」

「斜辺の2乗は残りの2辺の2乗の和と等しいわけだから、このaベクトルの大きさはx成分の2乗とy成分の2乗の平方根をとってあげればいいの。」

「なるほどぉ。」

「で、一応ルール上はこんな感じなんだけど、ベクトルをわざわざ原点まで持ってくるのって正直大変でしょ。」

「そうね。」

「だから、このベクトルの成分を表すときなんだけど、次のページの例題6を見て。」

「これ?」

「そう。例えば、こっちのaベクトルなんだけど、これ、原点には置かれてないけど、成分ってベクトルの向きに沿って縦と横がどれだけかがわかればわかるでしょ。」

「確かに。」

「このaベクトルが向かってる方向は右方向に1から4に向かってるからこの幅が3、それから、ここから上方向には3から5だから幅が2。つまりこのベクトルの成分は(3,2)。成分がわかれば、大きさはこの成分を2乗した物を足して平方根を取れば求められるから√3の2乗+2の2乗。すると√9+4で√13。これがこのベクトルの大きさよ。」

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