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はるのかぜ

第29章 進むべき道

進路について調べることになったハルはその日の昼休み、有紀と彩と一緒に進路資料室に向かいました。国分先生の言っていた通り、沢山の資料が置いてありました。

「有紀はどこの学校調べる?」

資料を探しながら彩が言いました。

「私は、情夢(じょうむ)大学。何気に指定校推薦狙ってるの。」

「確かにあの大学は地元ということもあってか、毎年、うちの学校からも沢山行ってるみたいね。ハルは?」

「今、探してるところ。」

そう言ったハルはいろんな大学の情報が載っている資料を片っ端から見ていました。ハルは大学の名前よりも「取得できる資格」の項目が気になっていました。なぜならば教育実習生の松岡先生の言葉が、あの日以来気になっていたのでした。

「小学校の先生なら全教科教えないといけないから教育学部だけど、中学校や高校は専門教科だけを担当することになるから、逆にその教科を極めるための学部に行くのも、大事だったりするんだよね。」

ハルは数学の教員免許が取得できる学部を必死で探します。しばらくして、ハルの動きが止まりました。そのページの資格の欄にはこの記載があったのです。「中学校教諭一種免許状(数学)高等学校教諭一種免許状(数学)」。そのページの学部を見てみるとこう書かれていました。「理学部 数学科」。

「これだ。」

ハルは呟きました。松岡先生から言われた、教科を極める学部を遂に見つけたのでした。数学が得意だったハルは、これが私の進むべき道だと思った瞬間でした。

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