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はるのかぜ

第30章 先生もハルを頼る

2005年、ハルは高校3年生となりました。数ヵ月後には受験シーズンがやって来ますが、今は目前に、とある学校行事があります。文化祭です。青美高校では3年生が文化祭で模擬店をやるというのが、毎年恒例となっています。

「じゃあ、多数決の結果、焼きそばとフランクフルトということになりました。じゃあ、材料は私のほうで、手配しておきますので、当日はしっかり文化祭を盛り上げてください。」

そう言ったのは担任の長瀬珠子先生でした。

文化祭、前日の夜のことでした。ハルは自分の部屋で、翌日に控えた文化祭に必要な物を準備していました。すると、扉をノックする音が聞こえ、ハルの母、弥生が入ってきました。

「ハル、長瀬先生から電話よ。」

「えっ?先生から?」

ハルは急いで電話機のあるところに向かいました。

「お電話代わりました。」

「あっ、ハル。ごめんね。明日の文化祭なんだけど、材料が届く時間が少し早まって、8時半には届くらしいの。だから、みんなに連絡したいなぁって思ってたんだけど、誰か連絡先を知ってる人いる?」

「連絡先ですか?私は高橋さんと岡本さん、城島さん、山口さんなら知ってますよ。」

「さすが、ハルね。じゃあ、4人に集合時間の連絡お願いしてもいいかしら?」

「わかりました。」

「じゃあ、残りの人は先生のほうから連絡しておくわね。」

これで、長瀬先生とのやり取りは終了かと思われましたが、ハルには気になったことが1つありました。

「先生、もしかして、今、連絡してるの、私がクラスの中で一番最初ですか?」

「うん。よく考えたらクラスの連絡網用意してなくて、どうしようかって思ってたの。ハルだったら、一番連絡先を知ってそうな気がして。」

「そうだったんですね。では、4人には私が責任持って連絡します。」

ハルは長瀬先生との電話を終えると、直ぐに有紀、愛、彩、ミカにメールをしました。

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