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瑠奈。

第4章 黒塗り高級車

「前の車、ゆっくり左に寄せて止まりなさい」

「危険です。速度を落として左に寄りなさい」

声を掛けても止まる気配は無く、信号無視を続けて廃工場まで導かれてしまう。

黒塗りフルスモークの車が停車すると、左側の運転席から派手な柄のシャツのボタンを大きく開けた男が首を押さえて降りてくる…

『痛っ…いたたたたたっ…姉ちゃん、どこ見て運転してんだよ!あーあ、兄さんの高級な車に傷ついたなぁ〜』

慌てて白バイを降りる小泉巡査。男性に駆け寄り…

「どうしました?大丈夫ですか?」

訳もわからず男性の怪我を心配してから、傷ついたと言われた車体を覗き込み確認する。

「異常は無いようですが…」

突然、脇を羽交い締めにして廃工場まで引き釣り込まれる…

『おらっ、白バイ隠しとけ!』

中に居た舎弟に白バイを隠すように言うと、無線のスイッチを切る男。

『隠す前に白バイいっぺん車に追突すんの忘れんなよ!』

そう言われて初めて罠だと気付かされた。

ドスン!…

外でバイクを車にぶつけた音がして、既成事実が作られた。

『兄貴!兄貴!連れてきました!コイツですよね?』

羽交い締めする男が声を掛ける先を見ると、サングラスをして黒いスーツに紫のシャツを着たいかにもその筋の男がソファーに踏ん反り返っている。

『おう、そうそう。ご苦労だったな。』

そう言われると、舎弟らしき男は投げ捨てる如くソファーに押しやった。バランスを崩しソファーに倒れ込むとそれを受け止めるように【兄貴】が左腕でがっしり首周りを抱えるようにして、右腕で乱暴に胸を揉みしだく…

『久しぶりだな〜、小泉瑠奈巡査っ。覚えてないだろ?…こないだ家族連れのエルグランド捕まえたろ?あの時の俺だよ』

つい先日、瑠奈は家族連れのエルグランドの運転手が電話しながら運転するのを取り締まった。
男性は重要な電話で一瞬だけ取ってしまったと言い訳したが、それを許さず切符を切り男性は点数不足で免許取り消しになった。
もちろん家族旅行も行けなくなり、旅館はキャンセル、そして自宅までのレッカー代も掛かったし、家族に恥をかかされたことを怒りを再燃させながら渾々と説明してきた。
怒りに任せ乱暴に胸を握り潰されるかのような痛みに瑠奈は快感を感じてしまっていた…

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