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金曜日のおじさま

第17章 diecisiete

レストランに着いて、事務作業をしていると甥っ子のキャスが出勤して来た。

「おはようございます。ティオさん」

「おはよう」

「今日は早いですね? どうかしたんですか?」

「ビーに追い出された」

「えっ…」

「ハハハッ、冗談だよ」

「あー、ご馳走様です」

キャスに大人の対応で流された…。

レストランはいつもの様に流れて終わった。ビアルネスが休むようになってから、男性客が減った気がするのは気のせいだろうか?

「ビー嬢の調子はどうなんだ?」

中休憩で賄いを食べながらキールが訪ねてくる。

「いつも通りに振舞おうとしているのが分かる。急に泣き出す時もあるし、まだ喋れないからストレスになってるのかやたら甘えてくるよ」

「そうか、まだまだ油断は出来ないな…。ひとりにしてて大丈夫なのか? 夜は俺たちに任せて帰ってやれよ」

「大丈夫だよ。そんなに過保護にしなくても…」

「ティオさん、無理しないで側にいてあげて。ビーは負担を掛けないように我慢してると思うよ」

2人に押し切られ、オレは帰宅することになった。

ありがたい…イイ仲間だ。

オレは急いでマンションに帰宅した。
エレベーターに乗って⑧のボタンを押す。待ち遠しい…ゆっくりとした動きがじれったかった。

エレベーターを降りて、奥の角部屋、玄関ポーチの扉を開けて、玄関の扉を解錠する。

「ただいま! ビアルネス」

オレは小走りにリビングに向かう。ビアルネスは見当たらない。

「ビアルネス、寝てるのか?」

オレはベッドルームをのぞいた。そこには居なかった。一通り家の中を見て回ったが彼女の姿が見当たらない。

オレはスマホを取り出して電話してみる。耳を澄まして着信音を探る。

ヴヴヴッ…ヴヴヴッ…

玄関の方から聞こえる。

「ん? まさか!」

オレは書斎に向かった。書斎は玄関のすぐ隣にある部屋で鍵を掛けていたはずなのだが…ドアノブが開いた。

「ビアルネス?」

ガタ、ガタタン!

「あぁっ!」

急に呼ばれて、驚いた彼女はデスクに頭をぶつけたらしく痛そうにして立ち上がった。

「ココで何してる? どうやって入ったんだ鍵が掛かっていたはずだ」

オレは厳しい表情で詰め寄った。

「あぅ、あぅ」

ビアルネスは必死に何かを訴えようとしている。そして、一枚の写真を手渡された。

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