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銀河巡礼

第7章  五の月




誰かが泣いているようで
思わず降りた大きな楡の見える駅

小高い丘の木の下に
たたずむ人は誰だろう


近づくほどに
遠ざかるようなあてどなさ
その白いワンピースに 葉陰が揺れる



ああ、きみだったのか…


軽いめまいにひざをつきながら
風の音を聞いている

ひとり 風の音を聞いている






(了)



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