テキストサイズ

銀河巡礼

第11章  九の月




とりどりに咲く薔薇の花を

かすめるように走る路面電車

窓ごしに振られる小さな手が見える


あれは

あの日の私かもしれない…



既視感に 時はひと息に遡り

秋の光に浮かぶ

揺れるつり革と 白く細い指



満ち潮のように寄せる懐かしさに

足元は繋がれ

胸奥に強く風が吹きつける






(了)


ストーリーメニュー

TOPTOPへ