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銀河巡礼

第16章 二の月 Ⅱ




花を咲かせたいなら
そこの角で待つといいよ、と
言われるままに僕は待つ

かすかに顔を覗かせたきりの
水仙の鉢を抱きながら

今年初めての春風が通る道は
未だ薄氷のような空気に包まれ
所在なさげに鳥が飛ぶばかり

けれど 僕は待ち続ける
春を 花を
帰らぬひとを…






~水仙


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