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銀河巡礼

第35章 九の月 Ⅲ




―おだんごをくださいな

―ごめんなさい…今日は売り切れなんです…


言いながら振り向けば、夜の色した小さな兎


耳をしおらせ

ぽかんと見上げる大きな瞳が

涙の波に揺れている



―だいじょぶ!さあ、こちらをどうぞ

手元に残したひと包を差し出された黒兎

小さな顔の泣き笑い



木立の向こうに

ゆらゆらと月がのぼる






〜仲秋



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