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数珠つなぎ

第1章 あなたを救いたい

目を閉じ、乱れた呼吸を整えていると何かの封切る音が聞こえた。

それが何なのか確認しなくてもわかった。

そしてさっきも聞こえたキャップが外れる音。


今からしようとすることに対して、悲鳴を上げる様に心臓の鼓動が一気に早くなる。


嬉しい。

やっとひとつのなれる。


ずっと望んでいた事なのに……


でも怖い。

ここから逃げ出したい。


相反する気持ちが心の中で渦巻く。

決して混ざることのない水と油のようにどちらの気持ちも主張を止めない。


でも、後者の気持ちは俺の膝を立たせ腰をガッツリと押さえた智によって望みを絶たれた。


「ニノ……目、開けて?」

ゆっくり瞼を開けると、優しく微笑む智。

けど、俺を見つめる瞳は揺るがず獲物を今から食べようとする猛獣みたい。

智が醸し出す不思議なオーラに、身体が本能的に智を求めて震えた。

「優しくするから」

ドラマで聞くと寒すぎると思うセリフも、智から発せられるとスッと心に染みた。

「来て?」

俺もドラマに出てる女みたい。

なんて思った瞬間、指が入ってきた時とは比べ物にならない痛みと圧迫感が下半身を襲う。

「うぅっ……あぁっ…」

さっきとは違い、苦痛を漏らす声を抑えられない。


するとその言葉を智の唇が塞ぐ。


甘く優しいキス。

それが苦痛で力む身体をだんだんと解していく。

そしてゆっくりと、俺の中へ智のモノが入っていく。


チュッとリップ音をたてて唇が離れた瞬間、お腹を圧迫する熱いものがドクンと波打つのがわかった。

「全部……入ったよ」

その言葉に瞼を開けると、額に汗を滲ませ苦笑いを浮かべる智が目の前にいた。

「ホント…に?」

智がゆっくりと頷くと、ポツリと汗が頬の辺りに落ちた。

「ありが…とう、ありがと…う」

ひとつになれた喜びと、汗をかかない智が汗だくになって頑張ってくれたことが嬉しくて……

勝手に涙がポロポロと流れていった。

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