数珠つなぎ
第2章 君を離さない
「じゃあ、これはチャラね?」
俺の両親の借用書をビリっと破った。
「じゃあ、これから俺の稼いだ金はニノの借金の返済に充てて下さい」
ニノが俺に手を伸ばしてくれたように、今度は俺がニノに手を伸ばす。
「それは無理な話だな」
「何でだよ、俺のしゃ……」
再び、胸のポケットから紙を出して俺に差し出した。
また借用書だった。
「なんで……」
そこには俺の望んではいない形で借金の返済を終えたはずの両親の名前があった。
「また資金繰りに困って、電話くれたの。ちょうど二宮くんが借金を返済した後だから、貸してあげたの。だって智くんが返済できるからね?俺って優しいでしょ?」
俺は間違った選択をしてしまった。
ニノと両親を天秤にかけた時点で、ニノを取るべきだった。
両親を見捨てるべきだった。
ニノの気持ちだけじゃない。
俺の捨てきれない両親への優しさをオーナーは完全に読み切っていた。
ニノを取らない時点で……俺の勝ちは無かった。
ここから俺のニノも抜け出せると思ったのに、俺もニノも使い物にならなくなるまで、ここから逃げられない。
もう話す気力もなくなって、早くこの部屋から出たかった。
「あっ、智くん」
トボトボと歩き出す俺にオーナーが明るく声をかけた。
「これ、あげる。成功報酬ってことで」
振り返った俺に帯が付いた札束を投げてきた。
ニノの人生……
たったこれっぽっちっていうのか……
受け取ると、すぐにオーナーに投げつけ部屋を後にした。
「じゃあこれ、返済に充てとくからねー」
ドア越しに嬉しそうなオーナーの声が聞こえた。
全てに対してイラつきそうな気持を抑え、ニノを探した。
今日は確か、バイトの日。
慌てて受付に向かったけど、そこにはニノの姿は無かった。
ここにもうニノが立たないのがわかっていたから、オーナーは早々に新しいバイトを雇っていたんだ。
くそ…っ!
どこにいるんだよ、ニノ。
俺の両親の借用書をビリっと破った。
「じゃあ、これから俺の稼いだ金はニノの借金の返済に充てて下さい」
ニノが俺に手を伸ばしてくれたように、今度は俺がニノに手を伸ばす。
「それは無理な話だな」
「何でだよ、俺のしゃ……」
再び、胸のポケットから紙を出して俺に差し出した。
また借用書だった。
「なんで……」
そこには俺の望んではいない形で借金の返済を終えたはずの両親の名前があった。
「また資金繰りに困って、電話くれたの。ちょうど二宮くんが借金を返済した後だから、貸してあげたの。だって智くんが返済できるからね?俺って優しいでしょ?」
俺は間違った選択をしてしまった。
ニノと両親を天秤にかけた時点で、ニノを取るべきだった。
両親を見捨てるべきだった。
ニノの気持ちだけじゃない。
俺の捨てきれない両親への優しさをオーナーは完全に読み切っていた。
ニノを取らない時点で……俺の勝ちは無かった。
ここから俺のニノも抜け出せると思ったのに、俺もニノも使い物にならなくなるまで、ここから逃げられない。
もう話す気力もなくなって、早くこの部屋から出たかった。
「あっ、智くん」
トボトボと歩き出す俺にオーナーが明るく声をかけた。
「これ、あげる。成功報酬ってことで」
振り返った俺に帯が付いた札束を投げてきた。
ニノの人生……
たったこれっぽっちっていうのか……
受け取ると、すぐにオーナーに投げつけ部屋を後にした。
「じゃあこれ、返済に充てとくからねー」
ドア越しに嬉しそうなオーナーの声が聞こえた。
全てに対してイラつきそうな気持を抑え、ニノを探した。
今日は確か、バイトの日。
慌てて受付に向かったけど、そこにはニノの姿は無かった。
ここにもうニノが立たないのがわかっていたから、オーナーは早々に新しいバイトを雇っていたんだ。
くそ…っ!
どこにいるんだよ、ニノ。