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数珠つなぎ

第6章 僕らは離れない

「ただいま」

俺の声と共にバタバタと近づく足音。

「おかえり」

和也が俺に飛びついて抱きつく。


強い強い和也の腕の力。

その痛みが俺の幸せの一部。


離さないって言ってるみたいで、俺も返事をするように強い力で抱きしめる。


そして俺たちは和也が用意してくれた晩ご飯の香りが漂うリビングを通り過ぎ、寝室へと向かう。


これはいつもの事。


俺の仕事が休みで出迎えた時も……

2人で一緒に帰ってきた時も……


和也が客に抱かれて帰った時は俺が和也を求める。

俺が客に抱かれて帰った時は和也が俺を求める。



互いに客に抱かれたら、互いが求める。



寝室につくと、和也は俺の服を脱がしベッドへと押し倒す。

和也も素早く自分の服を脱ぎ棄て、俺に跨り覆いかぶさる。

「智…」

「かず…んっ」

名前を言う前に、俺の唇に和也のそれが重なる。


優しいキスなんかじゃない。


招き入れるために開けていた隙間から和也の舌がスルりと侵入し、俺の舌と絡まる。

「んっ…っぁ、かずっ…」

「ふっ…さとっ…んっ」


俺の口内を消毒するように下が這い、和也の唾液に包まれる。


唇を離すと2人の絡まった液が糸を引き、そして儚く切れて無くなる。


明日の俺たちみたいに……


「そんな寂しい顔しないで……」

いつも和也はそう言って、俺の頬を温かい手が包んでくれる。


その笑顔も切れた透明な糸と一緒で儚い。


「和也……俺を愛して?」


和也は返事をすることなく、俺の首筋に顔を埋め、唇を這わす。

「あっ…んっ、もっ…と」

素直に快感を求める。

後頭部に手を回して、和也を俺の身体から離さないようにする。


和也は客の這っていった後を上書きする様に身体中に舐め回す。

客がもたらした快感、痕跡を消し去り、和也の愛が上書きされる。


身体が和也に寄って浄化されていく。

身体が和也を求めて熱くなる。


「んあっ…」

そして、和也を求めて零れ落ちる先走りを舐めとってくれる。

一番汚れている俺のモノを和也の口内と舌が優しく包み込んだ。

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