数珠つなぎ
第6章 僕らは離れない
【智side】
ゲームセンターを出た俺たちは、ショッピングモールを後にした。
どうしても行きたい場所があった。
「どこ行くの?」
「和也がいい洋食屋さんを教えてくれたから、今度は俺がいい喫茶店教えてあげる」
「ホントに?」
弾けんばかりの笑顔を俺に向ける。
こんな笑顔の和也を見たのはいつぶりだろう。
「いつも1人で行ってたから、誰かと行くのは和也が初めてだよ」
「そうなの?……嬉しい」
目を潤ませながら、素直な気持ちを俺に伝えてくれた。
それは俺のセリフだよ?
こんなに嬉しいと思ったのはいつぶりだろう……
「さっ、行くよ」
俺たちは早足で、喫茶店へと向かった。
カランカラン…
「いらっしゃい」
カウンターに座って読書中だったマスターが立ち上がる。
「おぉ、久しぶりじゃな」
通っていた頃と同じように優しい笑顔で出迎えるマスターの顔にはシワが目立つ。
通っていた頃から蓄えていた髭には白が混じり、腰も少し曲がっていた。
マスターの風貌が年月の経過を教えてくれた。
「お久しぶりです。覚えてくれてたんですか?」
もう、ここには何年も通っていない。
「お客様の顔は忘れへんよ。いつもので……ええんやろ?」
「はい。2つ、お願いします」
2つあるうちのひとつのテーブル席に座る。
レトロな雰囲気に、温かみのある照明の灯り。
そして心地の良いジャズ。
それが俺をあの頃に戻してくれる。
最初は店で休憩時間を過ごしたくなくて、たまたま近くにあったこの喫茶店を見つけた。
入った瞬間……
ここは俺にとって必要不可欠な場所になった。
纏いたくない厭らしい雰囲気を浄化し、慣れてしまった夜の世界から解放された。
唯一、俺が知る異世界。
和也も俺と同じ夜の世界にいる今、どうしてもここに連れて来たかった。
「いい雰囲気だね。何だか……懐かしい感じがする」
それはね、和也……
きっと昔の自分に戻れているからだよ?
そしてようやく向き合えたんだ。
俺が知ってた昔の『二宮和也』
夜の世界を知る前の『大野智』
初めまして。
そして愛してるよ……和也。
ゲームセンターを出た俺たちは、ショッピングモールを後にした。
どうしても行きたい場所があった。
「どこ行くの?」
「和也がいい洋食屋さんを教えてくれたから、今度は俺がいい喫茶店教えてあげる」
「ホントに?」
弾けんばかりの笑顔を俺に向ける。
こんな笑顔の和也を見たのはいつぶりだろう。
「いつも1人で行ってたから、誰かと行くのは和也が初めてだよ」
「そうなの?……嬉しい」
目を潤ませながら、素直な気持ちを俺に伝えてくれた。
それは俺のセリフだよ?
こんなに嬉しいと思ったのはいつぶりだろう……
「さっ、行くよ」
俺たちは早足で、喫茶店へと向かった。
カランカラン…
「いらっしゃい」
カウンターに座って読書中だったマスターが立ち上がる。
「おぉ、久しぶりじゃな」
通っていた頃と同じように優しい笑顔で出迎えるマスターの顔にはシワが目立つ。
通っていた頃から蓄えていた髭には白が混じり、腰も少し曲がっていた。
マスターの風貌が年月の経過を教えてくれた。
「お久しぶりです。覚えてくれてたんですか?」
もう、ここには何年も通っていない。
「お客様の顔は忘れへんよ。いつもので……ええんやろ?」
「はい。2つ、お願いします」
2つあるうちのひとつのテーブル席に座る。
レトロな雰囲気に、温かみのある照明の灯り。
そして心地の良いジャズ。
それが俺をあの頃に戻してくれる。
最初は店で休憩時間を過ごしたくなくて、たまたま近くにあったこの喫茶店を見つけた。
入った瞬間……
ここは俺にとって必要不可欠な場所になった。
纏いたくない厭らしい雰囲気を浄化し、慣れてしまった夜の世界から解放された。
唯一、俺が知る異世界。
和也も俺と同じ夜の世界にいる今、どうしてもここに連れて来たかった。
「いい雰囲気だね。何だか……懐かしい感じがする」
それはね、和也……
きっと昔の自分に戻れているからだよ?
そしてようやく向き合えたんだ。
俺が知ってた昔の『二宮和也』
夜の世界を知る前の『大野智』
初めまして。
そして愛してるよ……和也。