数珠つなぎ
第7章 俺も愛されたい
「ぅ…ん」
テーブルに預けていた上半身を起こすと、パサッと何かが背中から落ちる。
振り返って確認すると見覚えのあるジャケット。
「……起きました?」
目線を前に戻すと、風磨がソファーに座っていた。
いつ部屋に入った?
チラッと時計を確認すると、17時を回ったところ。
「珍しく、熟睡してましたね」
その言葉が、風磨のここにいた時間の長さを俺に教える。
「ふっ……」
思わず、笑ってしまった。
物音ひとつに敏感だったのに、緊張感が無くなると隙だらけだな。
俺はイスから立ち上がると、落ちたジャケットを拾った。
「待たせて悪かった。忘れ物、見つからなかったのか?」
風磨の元へ向い、ジャケットを差し出した。
「いえ、挨拶しようと思ったら寝ていたので……」
フワッとジャケットを羽織うと、襟辺りを鼻に近づけた。
「社長の匂い……」
「あっ、悪い。香水の匂いがうつったみたいだな」
待合室にまだ、匂いを消すやつ置いてたはずだ。
「ちょっと待ってろ」
「…………潤さんはいつもこの匂いを、感じていたんですよね?」
「えっ?」
部屋を出ようとしていた俺は思わず振り返った。
「寝顔を……あんな安心した顔を、いつも潤さんに見せていたんですか?」
目を潤ませ、寂しそうに俺を見つめる。
風磨が悲しむ理由も、言っている意味も全くわからない。
「そんな姿、見せた事はない」
「嘘だっ!俺っ、知ってるんです!潤さんと社長の関係を……付き合って……いるんですよね?」
声を荒らげると同時に溢れた涙が頬を伝う。
バレないようにしてたのに……
いつ、気がついたんだ?
それにどうして……お前が泣くんだ?
「付き合ってなんかいない。身体だけの関係だ。それも終わった」
「ホント……ですか?」
俺の言葉を聞いて嬉しそうに笑う。
こんな風磨を俺は初めて見たかもしれない。
そしてその瞬間、風磨の想いに気がついた。
「俺……社長が……」
「もう、用はないだろ。早く帰れ」
言おうとした言葉を遮り突き放す。
叶わない想いを伝えて傷つく必要はない。
テーブルに預けていた上半身を起こすと、パサッと何かが背中から落ちる。
振り返って確認すると見覚えのあるジャケット。
「……起きました?」
目線を前に戻すと、風磨がソファーに座っていた。
いつ部屋に入った?
チラッと時計を確認すると、17時を回ったところ。
「珍しく、熟睡してましたね」
その言葉が、風磨のここにいた時間の長さを俺に教える。
「ふっ……」
思わず、笑ってしまった。
物音ひとつに敏感だったのに、緊張感が無くなると隙だらけだな。
俺はイスから立ち上がると、落ちたジャケットを拾った。
「待たせて悪かった。忘れ物、見つからなかったのか?」
風磨の元へ向い、ジャケットを差し出した。
「いえ、挨拶しようと思ったら寝ていたので……」
フワッとジャケットを羽織うと、襟辺りを鼻に近づけた。
「社長の匂い……」
「あっ、悪い。香水の匂いがうつったみたいだな」
待合室にまだ、匂いを消すやつ置いてたはずだ。
「ちょっと待ってろ」
「…………潤さんはいつもこの匂いを、感じていたんですよね?」
「えっ?」
部屋を出ようとしていた俺は思わず振り返った。
「寝顔を……あんな安心した顔を、いつも潤さんに見せていたんですか?」
目を潤ませ、寂しそうに俺を見つめる。
風磨が悲しむ理由も、言っている意味も全くわからない。
「そんな姿、見せた事はない」
「嘘だっ!俺っ、知ってるんです!潤さんと社長の関係を……付き合って……いるんですよね?」
声を荒らげると同時に溢れた涙が頬を伝う。
バレないようにしてたのに……
いつ、気がついたんだ?
それにどうして……お前が泣くんだ?
「付き合ってなんかいない。身体だけの関係だ。それも終わった」
「ホント……ですか?」
俺の言葉を聞いて嬉しそうに笑う。
こんな風磨を俺は初めて見たかもしれない。
そしてその瞬間、風磨の想いに気がついた。
「俺……社長が……」
「もう、用はないだろ。早く帰れ」
言おうとした言葉を遮り突き放す。
叶わない想いを伝えて傷つく必要はない。