テキストサイズ

同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

「そろそろ行こうか」

俺の気も知らないで、拓海はさっさと玄関に向かう。

「へぇへぇ。いっきましょー」

やる気のない返事をしながら、最寄り駅まで歩いていった。

そこから電車で3駅先の、ショッピングモールの中に入った映画館を目指す。

「そういやぁ、昼飯どうする?」

「モールのフードコートでもいいんじゃない?」

「えー?奢りならもっといいもんがいい」

「お前、クソだな」

拓海の嘆きなど耳も貸さず、敷地内の飲食街にあるめぼしいものをピックアップしていき…

妥協案で折り合ったとんかつ屋でお昼を食べた。

それでもまだ時間が余ってて…

仕方なく、その辺にあるメンズアイテムの店を巡っていた。

すると

「あ、これいいじゃん」

拓海がキャスケットを手に取り、俺に被せてきた。

「似合う似合う」

「そうかぁ?」

キャスケットって帽子自体が子供っぽくないか?

「今日付き合わせたお礼に買ってやるよ」

え?くれるの!?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ