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同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

だったら話は別だ。

「サンキュー。悪いな」

態度を一変すると、拓海は苦笑いを浮かべてレジへ向かった。

拓海が戻ってくるまで、何となく周りを見回して…

土曜日だからか?

カップルと家族連ればっかりな気がする。

世の中つがいやがって!!

こちとら男同士で映画見るんだぞ!?

「はいよ」

ポスッと音をたてて、拓海が俺に帽子を被せてきた。

「は?今被るのか?映画見るのに?」

御丁寧にタグを外してもらったらしい帽子を取ろうと手を伸ばすと

「被ってた方がいいと思うぞ」

「何で!?」

「ま、今にわかるさ」

拓海の予言めいた言葉に、帽子を脱ぐタイミングを失ってしまった。

眉をひそめると、拓海はくくっと笑い、

「そろそろ行こーぜ」

そして、すたすたと映画館のある方向へ歩き出した。

「お…おう」

拓海の後ろを歩き…

すれ違う女の子が、拓海を見てるのが分かって、諦めの息を吐いた。

イケメンは得だよなぁ…

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