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同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

チケットを引き換えて、飲み物とポップコーンを買い、席に向かう…と。

「おい!」

「何だよ」

「席!!」

「だから。言ったろ?」

ああ、聞いてるさ。

だけど…何でこんな目立つ位置なんだよ!!

前から10列目。

11列目とは通路を挟んでるから、人通りが半端ない。

そんな列のほぼ真ん中に、ペアシートが5席あって…

俺達の席は3番目…つまり、真ん真ん中だった!!

「聞いてない!!」

「俺も知らなかったから」

澄ました顔で言ってのけるけど…絶対嘘だろ!?

「ほら、行くぞ」

拓海がポップコーンとかが載ったトレイを持ってさっさと進んでいく。

ペアシートって聞いた時からいい思いはしなかったけど…

もっと後ろの…ひっそりとした席なのかと思ってた!!

大多数の人から丸見えな席に、男同士で座って…

こんなの、いい恥さらしじゃん!!

席から拓海が手招きしてるのが見えて、はぁ…とため息をつく。

二時間…堪えられるかなぁ…

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