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同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

お前、それさ。

ペアシートじゃなかったら一緒に行く女の子はいくらでもいるよ、って自慢か?

そして俺に帽子を被せて…遠目からならカップルに見えるように細工して。

「お礼」なんて嘘っぱちじゃないか!!

喜んだ自分が馬鹿にしか思えない。

「だから、翼が付き合ってくれて助かったよ」

ああ、そうかよ!!

お前のプライドを保つために、俺はこんな…目立たないように体を縮こませてるのに。

何でそんなに愉しそうなんだよ!?

笑顔を浮かべてる拓海を、顔を伏せたまま睨み付けて

「お前…ぜってー許さないからな!!」

小声で…でも怒りに震える声で告げれば、拓海が驚いたように目を丸くして…

次の瞬間

ニヤリと、不敵な笑いを浮かべた。

「そう来るとは…予定外だな」

「はぁ!?」

「いや…いいよ、分かった」

そう呟いたのとほぼ同時に、辺りが暗くなっていき…

「とりあえず、映画を楽しもう?」

拓海の言葉に、しぶしぶ視線を前に向けた。

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