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同居人は教えたがりな奉仕者

第2章 帽子と映画

映画は面白い。

アクションも見ごたえあったし、ヒロインを主軸にしたラブストーリーもぐっとくるところがある。

それはいいとして…

横に座る拓海をジロリと睨むと、俺の視線に気付いたのか、拓海がこっちを見た。

「?」

「う・で!」

暗闇でも分かるように…でも上映中だから声を出さずに注意すると、

「あ…悪い。つい癖で」

そう言って、俺の座るシートの上に伸ばした腕を引っ込めた。

癖。

あぁ、そうかよ。

映画を観るのに、そんなに浅く腰かけて、のけ反るように背もたれに背中を預けてるのも癖か?

肩を抱かれるかのように伸ばされた腕がなくなって、ようやく落ち着いて映画を楽しめる。

…と、思った…のに。

終盤、ウィルスの脅威から解放されて、安心したヒロインが彼氏と抱き合って…

ん!?

右隣も…左隣も!?

ペアシートに座ってるカップルがキスを繰り広げてて…

思わず映画よりも、隣のキスシーンに見入ってしまう。


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