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同居人は教えたがりな奉仕者

第3章 普段聞かないこと

拓海が3本目のビールを手にしながら

「にしても、見事にカップルだらけだったな」

「あ?」

「映画。あんなに埋まると思わなかった」

感心したように言うから、俺は頬杖つきながら玉ねぎのバター醤油蒸しを箸で突っついた。

「お前がそーゆー席を取ったからだろ」

時間が経ったからバターが固まりかけてる。

もう一度レンジにかけてこようかな…

拓海の皿は…あ、食べ終わってる。

よし、と立ち上がり、自分の皿だけ持つと、温めにキッチンへ向かいながら聞く。

「何でわざわざあの席?」

「そりゃあ…あわよくば、みたいな?」

拓海はニヤリと笑って缶ビールを口に運ぶ。

そんな奴に「けっ!」と言い捨てると、キッチンのレンジに皿を突っ込んだ。

「ラスト、周りのやつらキスしまくってたじゃん」

知ってる。

…ってーか、彼女と一緒だったらお前もそうするつもりだったって事だろ?

「それ狙いで席取ったのか?」

「ま、相手の様子見てだけど?」

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