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同居人は教えたがりな奉仕者

第3章 普段聞かないこと

咄嗟に手の甲で口元を拭った。

「同居してから彼女いた雰囲気ないし、ゼミでもそういう話聞いたことない」

ビールを3本も飲んだせいか?

拓海の目がとろんとして…

「中3で早いって言うなら…高校の頃?」

いつもだったらこーゆー話、あんまり振ってこないのに。

「あ~…まぁ、そう…だな」

何だか妙に気恥ずかしくて、まともに答えられなくて…

肘の辺りを、反対の手で掴む。

拓海なら…馬鹿にしないで聞いてくれるかも…

そんな淡い期待を抱いていると

「嘘か」

拓海がぼそっと呟いた。

「はぁ!?」

焦って聞き返すと、こらえきれなかったみたいで、くくっと笑いながら

「翼さ、嘘つくとき右手で左腕をさするんだよな。無意識だろーけどさ」

「え!?」

慌てて肘から手を離す。

そんな癖…気付かなかった。

「もしかして、童貞?」

「う…っ!!」

重ねて聞かれて、無意識に手が動きかけて…

手のひらをぎゅっと握り締める。


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