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同居人は教えたがりな奉仕者

第4章 正しいキスの仕方

皿を洗い終わって、気持ちも落ち着いた。

缶チューハイを持って部屋に戻ると、拓海がテレビからこっちに視線を向けた。

「ごちそーさん。ありがとな、翼」

「おう。俺に感謝しろよ?」

冗談で言ったのに、拓海はうんうんと頷いた。

「本当、翼と暮らして良かったよ」

何だ?

やけに素直じゃないか?

拓海を見れば、テーブルに肘をついてぼんやりしていて…

拓海の前には、四本目のビール。

「拓海、酔ってる?」

「そりゃあ呑んでるからな」

ああ、はいはい。

酔っぱらいの戯れ事か。

ひどくなる前に片付けておこう。

拓海の前の缶ビールをそっと持ち上げる…と

「でもさ、翼。あれはダメだろ」

片付けようとした缶ビールを奪い取られて、驚きのあまり固まってしまう。

「は?」

「キス」

拓海は缶ビールを口にすると、中身を飲み干して…ニヤリと笑う。

「彼女出来てあのキスじゃあ…お前、フラれるぞ!?」

「マジで!?」

確かにお前にヘタクソって言われたけど!!


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