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同居人は教えたがりな奉仕者

第1章 同居人

そもそも、俺と拓海は同じ大学の同じゼミを専攻したってだけの間柄だ。

だから特別に仲がいいって訳でもなく…

研究室で顔を会わせれば話をする、って位の仲。

それがルームシェアするようになったのは…

話は去年の夏まで遡る。

その頃俺は2年生で、入学当初から同じアパートに住んでいた。

2階建てのモルタル塗りの建物は、よく言えば『昭和モダン』で。

悪く言えば…『ちゃっちい住まい』だった。

それでもそこに住み続けたのは、破格値とも言える家賃の安さと、大家の人柄…だったのかもな。

あけっぴろげで、おおらかで、でも金には手厳しい人だった。

その大家から通達があったのが去年の夏だった。

「ごめんごめん。アパートが耐震で引っ掛かっちゃって。いい加減建て替えようと思うんだよね」

あははっと笑いながら

「だから来年の3月迄に出てくれる?」

そんな酷な話を振ってきたんだ。

「はあ?そんな急に言われても!!」

「元々来年の春には契約切れるんだし、更新しないだけだよ」

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