テキストサイズ

甘い鎖~縛られて溶かされる~

第7章 幸せな夜

「お、おはよう」



精一杯の笑顔を作る。



「体調大丈夫?顔が赤いみたいだけど」



「え?ううん、平気。ちょっと遅刻しそうになって走ってきたの」



「そっか。無理するなよ」



「うん」



晃くんはあたしの頭をぽんぽんと撫でた。



ズキッ…



心が、痛い。



裏切り者、とあたしの頭がずっと非難してる。



いつもと同じ一日。



いつもと同じように晃くんと放課後に図書館へ行く。



あたしたちは静かに勉強をする。



たまにひっそりと話をする。



それから勉強したあとは、帰り道をゆっくり歩きながらおしゃべりをする。



「優依ちゃん、ちょっと疲れてるんじゃない?」



「え…」



「新しい家での暮らしにようやく慣れてきた頃だろうしさ」



「そ、そうかな…」



本来ならそうなのかもしれない。



だけど…



「と言っても、寂しいよな?家族を失うって。俺、両親健在だから優依ちゃんの気持ちをわかってあげられなくて、ごめんな」



「そ、そんなことないよ」



あたしの寂しさを紛らわせてくれるのは、あなたの存在なのに。



あたしをちゃんと高校生として扱ってくれるのは、あなたなの。



晃くんが急に立ち止まった。



「俺が大人だったら、優依ちゃんと一緒に暮らすのに」



「え?」



ドキッ…







ストーリーメニュー

TOPTOPへ