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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第7章 幸せな夜

「こら、悠樹。あまり優依をいじめるんじゃない」



おじさまが落ち着いた声で悠樹くんに話しかけた。



あたしも悠樹くんも驚いておじさまを見つめる。



彼が悠樹くんの名前を呼ぶのも、話しかけるのも、すごく珍しいことだったから。



あたしが悠樹くんに目線を戻すと、彼は真っ赤な顔をしていた。



「別にいじめてねぇし」



悠樹くんはそれっきり黙ってケーキを食べ続けた。



微妙な空気になっていたら、突然志桜さんが笑い出した。



そして彼は落ち着いた声でおじさまに話しかけた。



「優依の彼氏なら僕は会いましたよ」



ドクン…



あたしの手が僅かに震えた。



「いつ会ったんだ?」



「優依の体調が優れない時に、見舞いに来たんですよ」



「ほう。どんな男だ?」



ドクンドクンドクン…



志桜さんはあたしを見て、にっこりと笑った。



「ええ、とてもいい子ですよ。優しそうで優依のことを大事にしてくれている」



あたしはそれ以上、彼の顔を見ることができなくて俯いた。



そんなこと、思っていないくせに…







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