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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第7章 幸せな夜

「そうか。お前が言うならそうなのだろう」



おじさまが納得したように頷いて、悠樹くんは不貞腐れたような顔でケーキに食らいついた。



微妙な空気になって会話が途切れる。



「優依さま、紅茶のおかわりはいかがですか?」



三坂さんが声をかけてくれて、あたしは「はい」と返事をした。



そこから空気が変わるかに思えた。



だけど…



「志桜、お前に会わせたい令嬢がいる」



おじさまが急にそんな話をして、また微妙な空気になってしまった。



志桜さんは無反応で、となりの悠樹くんも興味なさそう。



だけど、おじさまは話を進めていく。



「お前より年上だが美人で教養もしっかり身についた娘だ。向こうはお前との見合いに乗り気でいる」



志桜さんは静かに紅茶を飲んでいる。



「病気もない。すぐにでも子を授かるだろう」



志桜さんは横目で睨むようにおじさまを見据えた。



「それはお相手に失礼というものです。こちらの事情もありますし」



「お前の事情も承知の上で、向こうは見合いをと言っている。どうやらその娘は学生時代にお前のことを知っていたようだぞ」



「僕は学生時代に親しくした女性はいませんよ」



志桜さんがあたしのほうへ目を向ける。



「今日は優依の誕生日です。僕の話はもういいでしょう?」



志桜さんと目が合った瞬間、ビクッとして急いで顔を背けた。





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