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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第7章 幸せな夜

「ねえ、悠樹くん。どうして志桜さんのことが嫌いなの?」



この質問をすると悠樹くんはさらに嫌そうな顔をした。



「あいつ、嘘つきだ」



「え?」



「昔から嘘ばっかついて、ムカつく」



「そうなの?」



悠樹くんはゲーム画面から目を離すこともなくそう言った。



「どんな、嘘を…?」



その質問には答えてくれない。



すると代わりに背後から声をかけられた。



「僕が何だって?」



あたしも悠樹くんも同時にビクッと震え上がった。



この人はなんて心臓に悪い現れ方をするのだろう。



「なんでもねーよ。もう寝る」



「あ、悠樹くん!」



悠樹くんはあたしの制止を無視して、志桜さんと目も合わせずに部屋を出ていってしまった。



志桜さんがあたしに目を向ける。



「それで、ふたりで何を話していたの?」



「えっと、ゲームのこととか」



ドキドキしながら当たり障りのないことを答える。



「僕が嘘つきだって?」



う、バレてる…



「志桜さんは嘘をついているんですか?」



「さあ、どうだろうね」



「え…」



志桜さんはにっこり笑って、あたしのとなりに座った。



「悠樹はああ見えて弱いからね。たぶん、君の方が強いね」



「それ、どういうことですか?」



志桜さんはじっとあたしを見る。



「あ、あたしも寝なきゃ」



慌てて彼の視線から逃れるようにソファから立ち上がった。











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