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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第8章 奪われて…

ちゅっ…



志桜さんはあたしの額や頬にキスをする。



「あ…ン」



軽く触れる程度なのに、あたしの体が反応する。



「は、あ…」



とろりと視界が揺れるような錯覚に陥る。



あたしの頭はぼうっとして思考がめぐらない。



「優依、僕はね。成長した君を目にして、自分の中にある強烈な欲望に気づいたんだよ」



「え…?」



彼は切なげな顔をして、あたしの頬を撫でる。



「僕は、まだ小学生の君に欲情し、犯したい願望にかられた」



ドクン…



志桜さんの息が荒くなるのを感じる。



「自分でも異常だと思った。だから、君とは会えなかった」



「そんな…」



あたしが小学校の時から、志桜さんはあたしをこんなふうにしようと…



「優依、僕は君が成長するのをずっと待っていた。君が天涯孤独になった時、この家に引きとってくれるよう父に頼んだのも僕だ」



「え…ウソ」



「事実だよ」



志桜さんは真剣な顔であたしを見下ろして、力強く言った。



知らなかった。



あたしはずっと志桜さんに見られていたの。



「本当はゆっくり進めるつもりだった。けれど、僕自身はもう限界だった。同時に優依に彼氏ができたこと、父から見合いをさせられていること、それらが重なって僕は君を早急に奪いたかった」



なんて、人…



そこまであたしのことを想ってくれているのに。



なんて素直で直球で、不器用なんだろう。








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