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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第9章 彼氏だけど…

志桜さんが庭に立っていた。



植木でも眺めていたのかな。



彼の背後には薔薇が咲いている。



「おはようございます」



あたしは軽く頭を下げて挨拶をした。



「おはよう。こんなに急いでどこへ行くの?」



「えっと…」



デートだなんて言えない。



「ちょっと、お友達と…」



「そう」



志桜さんはあたしに近づいて微笑んだ。



ドキッとする。



昨日は夕食時しか見ていないから、あの夜以来に会話をする。



思い出してしまって体が熱くなった。



恥ずかしくてまともに顔が見られない。



「あの、もう行かないと遅れちゃうので」



「そっか。おいで」



志桜さんはなぜかあたしの手を引いて庭へと入っていく。



「え?何?あたし…」



驚いて混乱しているあいだに、あたしは車に乗せられてしまった。



「急いでるんでしょ?送ってあげるから」





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