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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第9章 彼氏だけど…

翌日、憂鬱な気分で学校へ行くことになった。



晃くんにどんな顔をして会えばいいのだろう。



「お前、月曜から暗すぎ」



となりを歩く悠樹くんが機嫌悪そうに話しかけてきた。



「あ、ごめんね」



あたしたちはいつの間にか一緒に登校するようになっていた。



悠樹くんはあたしがいたら女除けになると言うのだ。



あたしも彼と一緒に学校へ行くようになって初めて知ったのだ。



「キャー!悠樹くーん!」



「おはよー悠樹くーん!」



彼はモテるのだった。



「うっざ。女ってうるさいんだよな。お前がいれば誰も寄ってこないと思ったのにさ」



「どうして女の子が嫌いなの?」



兄弟でこんなにも違うものなんだなと思いつつ、疑問を口にした。



「だって、あいつら俺じゃなくて俺の家が好きだから」



「え?」



「金さえありゃいいんだよ。女ってのは」



「そうかなあ…」



悠樹くんはぴたりと足を止めた。



「そんなことよりお前さ…」



「え?」



「やっぱいいや」



悠樹くんは何か言いたげだったけれど、急に顔を背けて中等部の方向へと歩いていった。



あたしは高等部へ向かう。



晃くんと顔を合わせるのが気まずい。



だけど、教室に入ると彼は何もなかったように笑顔であたしに挨拶をしてくれた。



「優依ちゃん、おはよう」



「あ、おはよう。晃くん」



ちょっと、安心した。




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