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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第10章 無理矢理

ピンポーン。



その音に、晃くんは驚いて手を振り上げたまま固まった。



「何だよ?こんな時間に誰だ?」



晃くんが時計を見る。



今は夜中の1時過ぎだった。



ピンポーン。



繰り返されるインターフォンの音に晃くんはイライラしながらあたしから離れた。



あたしは安堵して力が抜けた。



晃くんは窓を開けると同時に驚きの声を上げた。



「あ、あいつ!」



え…何?



知り合いでも来たのかな?



そう思っていたら…



「優依!」



ドックン…



窓の外から志桜さんの声がした。



「あっ…し、おうさ…」



あたしはかすれ声で彼の名を呼ぶ。



だめ。



もっと、大きな声を出さなきゃ。



「しおう、さん…しおうさん!」



晃くんが慌てて窓を閉める。




「志桜さん!」



あたしは力一杯声を張り上げる。



「なんであいつが来てるんだよ。友達のところに泊まるって伝えたはずだよな?」



確かに、あたしは悠樹くんに友達の家に泊まるとだけ伝えた。



それは晃くんもわかっている。



だから、どうして志桜さんがこのことを知っているのか、あたしが晃くんの家にいることがわかったのか…



不思議だけれど。



あたしは深く息を吸い込んで大声を出した。



「志桜さんっ!助けて!助けてええええっ!」



すると、向こうからも声が返ってきた。



「優依!優依!優依ーっ!」





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