テキストサイズ

甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

好き、の感情がわからない。



だけど、別の感情はある。



「志桜さん…今夜は、早く寝るんですか?」



わーバカバカ。あたし、何聞いてんの?



「明日早いからそうするよ」



あっさりとそう言われて何だかがっかりしてしまった。



やだ…あたし、何を期待して…



「そう、ですよね。早く、寝なくちゃ…」



思ってもいないことを口にしてしまった。



体がうずうずする。



あたしは彼に触れられたいと思っている。



前は会うたびに彼はどこででもあたしに触れていたのに。



最近は少し距離ができている。



「…えっと」



何か、言わなきゃ。



話題を…



「志桜さん…」



キスがしたい。



触ってほしい。



そんなことは口が裂けても言えない。



「あの…」



気づいてほしくて、あたしは目で訴えてみた。



だけど、志桜さんはふっとあたしから目を逸らした。



どうして?



「優依、早くシャワーを浴びて寝ないとね」



「え…」



「夜更かしはよくないよ」



「あ…はい」



どうしてそんなこと言うの?



今までどんなにあたしが疲れていても、どんなにあたしが嫌がっても、シていたくせに…



志桜さんはソファから立ち上がってあたしに笑顔を向けた。



「おやすみ」



ドクン…



「はい…おやすみなさい」



あたしは、そう言うしかなかった。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ