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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

それからのあたしの生活はとても充実していた。



学校に行って友達と話して、帰りにみんなでクレープを食べたり買い物に行ったり、一緒にテスト勉強をしたり、そんな高校生らしい生活を送った。



不満なんて、何もないはずだった。



友達と別れて帰宅した時、三坂さんと会ってあたしは挨拶をした。



「ただいま、帰りました」



「おかえりなさいませ、優依さま」



あたしはそのまま自分の部屋へ行こうとしたけれど、三坂さんに声をかけられた。



「優依さま、最近元気がない様子ですが、何かありましたか?」



「え?ううん、そんなことないです」



「本当ですか?悩みでもありましたら、ぜひ三坂に話してください。お役に立てるかわかりませんが」



三坂さんはにっこりと笑いながらそう言ってくれた。



だけど…



志桜さんに手を出してもらえないから、なんて言えるわけないよ。



「本当に大丈夫です。学校もすごく楽しいです」



「それはよかった。何かありましたら、何でもおっしゃってくださいね」



「ありがとうございます」



あたしは軽くお辞儀をして自分の部屋へと急いだ。



部屋に入るとドアを閉めて、そのまま立ちつくしてしまった。



これはあたしが望んだことなのに。



この家に来て、一番欲していた生活なのに。



「…無理、だよ…」



あたしはその場にうずくまった。



「志桜さん…あたし…」



ほしいよ…



あなたがほしくてたまらない…



あたしはその夜、生まれて初めて自慰行為をした。









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