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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

彼は椅子に座って、あたしはベッドに座って、話し合いの体勢になった。



緊張する…



「優依はどうしたいの?」



「え…」



ドクン…



「どう、したいって…」



「僕と付き合いたい?」



「え?」



ドキッとして彼を見つめた。



すると志桜さんはふふっと笑った。



「そういうわけではないみたいだね」



「そんなこと…」



「本当に優依は正直だなあ」



あたしはベッドから立ち上がって志桜さんに近づいた。



「違います!志桜さんと付き合いたくないんじゃなくて…その、まだ…気持ちが追いついていないというか…」



「何の?」



彼は穏やかに笑いながら訊ねる。



「えっと…あたし、好きっていう気持ちが、よくわからなくなって…志桜さんは素敵だし、どちらかと言えば好きです、けど…付き合うっていうのが…」



うまく、言葉にできない。



もどかしい。



どうしたらあたしの気持ちを伝えられるかな。



「ごめんなさい…あたし…」



これじゃあ、嫌われてしまうかもしれない。



なんだか泣きたくなってきて、あたしは立ったまま俯いた。



あたし、何しに来たんだろう…



「すみませ…」



謝ろうとしたら、志桜さんがあたしの頭を撫でた。



「いいよ。わかってる。元カレのことで君は混乱している」



「え…」



顔を上げると志桜さんは穏やかに笑っていた。



あたしは緊張がほぐれていくのがわかった。






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