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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第11章 あたたかくて…

「今までは僕が一方的に君を求めていたからね。君から求めて来るのを待っていたんだよ」



「え…」



志桜さんはあたしの髪を撫でる。



心地いい。



彼のこの手を、あたしは待っていた。



「それに、大嫌いな奴から少しでも好きな奴に変わっただけでも、僕は嬉しいよ」



「え?あっ…ごめんなさい」



あたしは何度、彼のことを大嫌いって言っただろう。



「謝らなくていいよ。それくらい最低なことを僕は君にしていたからね」



「う…」



そうだ。この人はわかっていてあんなことをしていたんだ。



それなのに、今度はぜんぜんしてくれないなんて…



これはあたし、怒っていいよね?



「ほんと、志桜さんは最低よ」



あたしがそう言うと、彼は目を丸くした。



「あたしをこんなにしたのは誰?」



志桜さんは表情を変えずにあたしを見ている。



「あたしを大人にしたのは誰?」



知らなければ気にならなかったのに。



快楽なんて知らなければ、あたしは前と同じでいられたのに。



もう、知らない頃のあたしには戻れない。



「あたしは、あなたのせいでおかしくなったの!」



あなたを見ているだけで体が反応する。



「あたしは、あなたがいないとダメな体になっちゃったの」



あなたに触れてほしくて、毎日そのことばかり考える。



「責任、とってよ!」



あたしがはっきりとそう言うと、志桜さんは口元に笑みを浮かべた。




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