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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

その朝はほとんど食事ができなかった。



「優依さま、どこか具合でも悪いのですか?」



心配した三坂さんがあたしに声をかけてくれた。



「大丈夫です」



出されたパンを無理矢理口に放り込んだ。



志桜さんは朝食の場にはいなかった。



あたしはいつものように悠樹くんと学校へ行く。



あたしが黙り込んでいたから、悠樹くんが変に思ったみたいだ。



「お前、ちょっとおかしいんじゃねぇの?朝起きたときは浮かれていたのに今度は何落ち込んでんの?」



「え?落ち込んでなんか…」



慌てて愛想笑いをしてみたけど、悠樹くんはあたしを訝しんでじっと見つめる。



悠樹くんが立ち止まったので、あたしも足を止める。



「ど、どうしたの?」



「あのさ、変なこと聞くけど」



「…うん?」



「お前、兄貴のこと好きなの?」



ドキ…



「え…と、どうして…」



激しく動揺する。



声が震える。



これ、絶対にバレてるよね…



「兄貴に婚約者がいるって俺が話してからわかりやすいくらい落ち込んでんじゃん」



何も言えない…



そのとおりだから。



「それだけじゃないけど。兄貴が出張中とか、三坂にいつ帰ってくるのか聞いてたし、この前のケーキだって俺とみんなが食ったから兄貴の分だけ後で作ってたじゃん。あれ、ほんとは兄貴に作ったんだろ?」



わっ…



どうして、そこまでわかっちゃうんだろ…






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