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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

「ご、めん…」



あたしはドキドキしながらそれだけ言った。



「別に謝らなくていいけど。マジで?」



「好き、かどうかは…わからなくて」



「は?意味わかんねぇ」



あたしも、よくわかっていないんだ…



これは恋愛の好き?



それとも、彼との行為が好きなだけ?



「あ、憧れてるの…」



そう言うしかなかった。



悠樹くんは呆れ顔になる。



「どこがいいのか知らねぇけど、お前、相手にされないよ。兄貴の婚約者は大病院の院長の娘だからさ」



ドクン…



そうだよね。



志桜さんに相応しいのはあたしじゃない。



「そっか…じゃあ、あたし…邪魔しないようにしなきゃね」



震える声でそう言った。



悠樹くんはそれ以上何も言わなかった。



せっかく学校が楽しくなっても、志桜さんのことが気になって、あたしの心は別のところにあった。



授業中も、体育の時間も、ぼんやりしていた。



だから、ボールが飛んできたのに気づかなくて…



「優依ちゃん、危ない!」



あたしは額でボールをキャッチしてそのまま後ろ向きに転んだ。








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