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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

「もう大丈夫です」



あたしは先生にお礼を言って保健室を出た。



晃くんがついて来る。



あたしは振り返って強く抗議する。



「あたしにつきまとわないでって言われたでしょ?」



「優依ちゃんってそんなに強い子だったっけ?そういうのもいいな」



晃くんの発言にますます腹が立ってくる。



だけど、ここで弱気になってもダメだし、相手にしてもダメ。



「あたしには心から愛している人がいるの。また、さっきみたいなことをしたら、あたしの彼が今度こそあなたを許さないわ」



晃くんは薄ら笑いを浮かべながら、何も返答をしなかった。



あたしはさっさと教室へ戻り、それからずっと友達と一緒にいた。



気分が悪い。



忘れたい。



今日は朝からろくなことがなかった。



あたしは学校が終わると遊びにいこうという友達の誘いを断って、まっすぐ家に帰った。



会いたい。



志桜さんに会いたい。



彼は今日、在宅だから会えるはず。



そればかり考えて家に帰った。



家に帰ると三坂さんが出迎えてくれた。



だけど、志桜さんに来客があったようで、あたしはすぐに部屋に戻らなければならなかった。



「誰が来てるんですか?」



あたしが訊ねると三坂さんが言った。



「志桜さまの婚約相手のご家族です」



ドクン…



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