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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第2章 聞こえちゃう

晃くんが見えなくなるまで、あたしは彼の後ろ姿を見送った。



見えなくなってもずっとそこに立っていた。



お屋敷に帰りたくない。



さっきまで幸せだったのに、急に憂鬱な気分になってきた。



我慢しなきゃ。



今は耐えなきゃ。



こんなの一生続かないんだから。



頑張ろう。



晃くんのことを考えてみる。



そうしたら、少しだけ元気が出てきた。



志桜さんは仕事で夜遅いはずだから、早く食事とお風呂を済ませて寝よう。



彼と顔を合わせないようにしなきゃ。



そう思っていた矢先だった。



「優依、今帰り?」



ドクン…



あたしは一気に地獄へ突き落された気分になった。



振り向くとそこに、志桜さんが立っていた。



「あ…どうして?仕事…」



「ああ。今日は在宅ワークだからね」



志桜さんはデザイナーをしていて、毎晩遅く帰ってくる。



それなのに、今日は会社に行っていなかったなんて…



彼があたしに近づいてきて、ビクッと体が震えた。





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