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甘い鎖~縛られて溶かされる~

第12章 不安になる

「大神くん!ねえ、聞いて?あたし、どんなことでもするから。あたしなら大神くんを救ってあげられるでしょ?」



え、何のこと…?



あたしは思わず志桜さんから顔を離した。



彼はあたしをじっと見つめている。



「あたしのお父さまなら大神くんの病気を治せるわ。最先端の医療チームを組んであなたの治療に当たってくれるわよ」



志桜さんの、治療…?



ドクンドクンドクン…



「ねえ、あたしと結婚すればこの家を継ぐこともできるし、あなたの体を治すこともできるのよ。この条件でなぜ拒むの?」



美鶴さんと結婚すれば、志桜さんは助かる?



混乱してきた。



もしかして、あたしが志桜さんの人生を邪魔してる?



不安になって見上げると、志桜さんはあたしに微笑んで、



そしてまた、彼はあたしにキスをした。



「何とか言ってよ、大神くん!」



美鶴さんの叫ぶ声に胸が痛くなる。



あたしの存在が、いけないことなの?



あたしと出会わなければ、志桜さんは彼女との結婚に迷うこともなかった?



そう思うといたたまれなくなった。



「…志桜さん、放して」



あたしは冷静に、静かに彼に訴えた。



だけど…



グイッ!



「…っ!」



志桜さんはあたしを包み込むように抱きしめる。



「大神くん!」



ドクンドクンドクン…



あたしは志桜さんの胸にぴったり耳をつけて、その鼓動を聞いた。



あたしが、いなければ、しおうさんは、たすかる?






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